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2007年05月31日

『かもめ食堂』を読んでみた。

ruokala_lokki.jpg久しぶりの読書感想ですか。最近忙しいにも関わらず、また本の虫が騒いでいて、暇を見つけては読んでいます。今回紹介するのはこちら、『かもめ食堂』。この作品、本当は映画を見たかったんですよね~。でも、本をみつけちゃったもんだから、読まずにはおれませんでした。いいよ、これ!!



人生全て修行。

武道家の父親を持つ主人公サチエは、大好きな“料理”に携わるべく大手食品会社で働きながらも、
いつかは自分の理想の店を持ちたい!と願っていた。
ふとしたことから、北欧フィンランドに店を持つという夢を抱くようになったサチエは、その夢を実現するための行動を開始。
運も見方につけて、遂にヘルシンキの街中に『かもめ食堂』をオープンさせる。

当初は誰も足を踏み入れなかったかもめ食堂だが、サチエの持ち前の明るさと一本気に魅かれるように、徐々に様々な人が訪れることになる。
努めていた会社がつぶれ、家族には厄介者扱いされ、やみくもに日本を飛び出した40歳の独身女性ミドリ、
はたまたやけっぱちで同じく日本を飛び出した挙句、飛行場でスーツケースがミッシングしてしまったマサコ。
彼女達を従業員として迎えたかもめ食堂は、いつの間にかヘルシンキの人々に愛される素敵な場所になっていく。

そんなかもめ食堂一押しのメニューがおにぎり。
それは、早くに母親をなくして家事をこなしてきたサチエに対し、遠足と運動会の日だけ父親が作ってくれたお弁当のメニューだった。。。



冒頭でも述べたとおり、本当は映画を見たいって思っていたんですよ。
単館系の映画だろうから、この辺りでは見たことないんですけど。。。
ちなみに映画のオフィシャルサイトを見たい方はコチラをどうぞ。
大体さ~、出演者が小林聡美片桐はいりもたいまさこって、おもしろくないわけないじゃんっ!!

見たい見たいと思っていると、やっぱり目につくもんなんですね。
小説の方を先に手にする事になりました。
これ、作家の群ようこさんにとっては初めての、映画のための書き下ろし作品なんだそうです。
まだ、映画見てませんが、これ、書いている時点で既にキャスティングが頭に浮かんでいたんじゃないかなぁ~、と勝手に想像してしまいました。

なんと言いますか、芸が細かい?細部に笑いの種がまかれてあるところが、まず読んでいて飽きない。
そんなに話が長くないこともありますが、あっさり、さくっと、軽やかに読み終えることができる、
それでいて読後になんともいえず、心があったかくなる、そんなテンポがなんとも心地いい作品です。

メインの登場人物が30代後半から50代にかけて、でも全員独身の女性で、世間から見ると孤独なのかもしれません。
しかし、様々な悩みを抱えながらも、彼女達は決して暗くないのです。
特に主人公サチエは、たおやかなのにしゃきっとしている、非常に小気味良く強い女性です。
そんなサチエの言動は読んでいて非常に共感できたり、また自分にはないものを持っていることを感じて羨ましくもなりました。

もちろんフィクションの世界ではありますが、恐らくかもめ食堂は、ヘルシンキのどこかに存在していて、
今日もサチエ達が何事もなくせっせと働いているのではないでしょうか。

なんでもない日常生活が、こんなに楽しい小説になる。
自分の生活も、きっとそうなんだろうなぁ~って思います。
淡々と過ぎていくだけのように感じる生活も、少し視点を変えれば物語になるような『ネタ』で溢れている。
『人生全て修行。びしっとして、でもおもいっきり楽しみなさい!』な~んて、言われたような気になりました。

こりゃやっぱり映画も見なきゃ!

Amazonで他の方のレビューも見ることができます。→コチラからどうぞ。
ちなみに上部の本のイメージをクリックしてもAmazonにとんでいきます。

『かもめ食堂』
著者:群ようこ
幻冬舎

投稿者 Keikon : 00:02 | コメント (0)

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2006年10月06日

『シュナの旅』を読んでみた。

syunanotabi.jpgちょっと前に、宮崎吾郎監督作品のゲド戦記を見に行ったんです。なるほどねぇ~、と鑑賞しながら最後のテロップのところで、ふと目に入った原案作品の名前の一つが、シュナの旅でした。この本、Keikonは中学生くらいの時に読んだ事があって、家の本棚をごそごそしていたら出てきました!ほぼ15年ぶり?くらいに開いてみたわけです。…年がばれるね。



はるかな昔か、それともずっと未来のことか。
時から見捨てられたかのような、谷の底の貧しい小国の王子シュナは、ある日、瀕死の旅人に出会う。
その旅人が死の床で話してくれたのは、はるか西の彼方にあるという豊饒の土地。
大地が果てるその地では、大きく重い実をつける、黄金の穀物が豊かにゆれるという。
この穀物さえあれば、人は飢えず、豊かに平和に暮らせる。
熱い思いを胸に、シュナは西へと旅立つ。

厳しく辛い旅の途中で、シュナは1人の老人から金色の種が実る“神人の土地”の話をきく。
金色の種は、いまや神人しか持っておらず、人は人間を神人に売り、死んだ実をもらうようになった。
神人は人がその地に近づくことを拒み、その地に赴き戻った者はいないというのだ。

人身売買の商品になっていた姉妹と出会い、彼女達を助け出した後、シュナは遂に1人で神人の土地にたどり着く。
脅かすものも、脅かされるものもいない、そんな平和な土地でシュナは、
神人と神人によって造られた緑の巨人、そしてその土地の実情を目の当たりにする。
恐怖を感じながらも、必死の思いで金色の穂をむしり取ったシュナは、荒れ狂った暗い海に踊りこんでいった。

1年の歳月が流れた。
シュナが救った姉妹、テアと小さな妹はその間、北方の貧しい村の老婆の家に身を寄せながら、シュナの帰りを待っていた。
ある夜、激しい胸騒ぎを覚えたテアは家を出て道を下った。
村の入り口まで来たとき、目の前に幽鬼のような人影が見えた。
それは、記憶も言葉も名前も、そして感情すらも失った、変わり果てたシュナだったのだ。。。
  



宮崎駿さんの名前を世に知らしめた作品と言えば、『風の谷のナウシカ』ではないかと思います。
(実はKeikon、このナウシカの大判本も全巻持ってます。)
シュナの旅の世界観は、ナウシカに近いものがあるのではないでしょうか。
ゲド戦記も良かったですが、個人的にはこのシュナの旅のアニメ化もしてほしいくらいです。
戦争、貧困、環境破壊など、人間が利便を追及しすぎた結果引き起こされる様々な問題。
力を持つものが弱きものを犠牲にしていきていく、そんな現実世界に警鐘をならすような作品だと思います。

ストーリーもさることながら、特筆すべきは絵ですね。
オールカラー、全編水彩画タッチのその絵は、非常に美しいです。

このシュナの旅は1983年に初版が印刷されたようですが、Keikonが購入したのは1991年の第25刷のもの。
ゲド戦記が話題になり、再び脚光を浴びた今は、いったい何刷くらいになるのでしょうか?
20年以上も前に描かれた作品ですが、未だに全く色あせる事はなく、
むしろ今だからこそ学ぶべき事が多いストーリーだと思います。

文庫本サイズで、すぐ手に取ることができるのも魅力的。
いや、むしろ大判にしてくれても良いほどの美しい作品ではありますが。
多くの人に読んでほしい、というか多くの人が読むべき本だと思いますよ!

Amazonへのリンクはコチラからどうぞ!
ちなみに上部の本のイメージをクリックしてもAmazonにとんでいきます。

『シュナの旅』
著者:宮崎駿
徳間書店

投稿者 Keikon : 01:03 | コメント (0)

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2006年07月10日

河童の手のうち幕の内を読んでみた。

kappa_makunouchi.jpgいやもう、まさに!Keikonにとってバイブルと言っても良いような本が今回紹介しますこちら、妹尾河童さんの河童の手のうち幕の内ですね。文庫本なので、大抵いつもかばんの中に潜ませています。暇つぶしに読むにはもってこい!いつ読んでも、何回読んでもおもしろい!まさに、ハッピーになれるエッセンス満載のオススメ本ですよ~!



妹尾河童さんといえば、舞台芸術家として知られている方ですよね。
Keikonが最初に出会った河童さんの作品は、彼の名を広めた有名な小説『少年H』でした。
まぁ、色々と物議をかもし出した本ではありましたが、私はとても面白く読んだ小説だったし、
何よりH少年当人であるという河童さんに非常に興味を持った最初の一冊だったわけです。

で、その後、河童さんが『覗いた』シリーズで有名なエッセイストであることも知ったわけです。

この『河童の手のうち幕の内』には、河童さんの、時に破天荒な考え方や行動の根幹、さらにそんな彼の視点だからこそ覗くことの出来る旅の記録、その他ジャンルを問わない、様々な短編エッセーが紹介されています。
そう、まさにおかずがたくさんある、幕の内弁当のような本なんです。

妹尾河童さんについては、読むたびに、『世の中にはこんなに面白い人がいるんだ~!』と感心し、憧れすら抱いちゃいます。
好奇心が“異常に”旺盛な河童さんの旅のアドバイスなんかは、普段の生活の中でも人生を楽しく過ごすためのヒントとして、非常に役立ってます。

それぞれのエッセーが、どれも非常に楽しいのですが、そんな中でも特にオススメなのが、実はおまけの部分。
幕の内弁当で言えば、弁当に一緒についてくるお茶、とでも言うべきところでしょうか。
この本の最後に、“河童流・俯瞰図の書き方”が紹介されているんです!

河童さんの『覗いた』シリーズのエッセーを読んだ事のある人ならすぐにわかると思うのですが、
彼は、色々な場所への旅の際、宿泊先の部屋などを俯瞰図、すなわち天井から覗いたような形で紹介しています。
その書き方を教えてくれているんです!!
河童さんの描く俯瞰図を一度でも見たことがある人であれば、誰しも必ず『どうやって書くんだろう?』と不思議に思ったことがあると思います。
非常に精密で、見やすく、上手!!
そんな俯瞰図を自分でも描けるかもしれない!と思うと、私なんてそれだけでワクワクです。

どうやって描くのか、、、は、是非本を読んで学んでみてほしいのですが、
実はこの描き方にそって、Keikonは一度自分の部屋を描いてみた事があります。
私って、こんなに絵が上手かったっけ?って、思わずうぬぼれる出来栄えでした。笑
その後、調子こいて家中の部屋の俯瞰図を描きまくってましたが。爆

まぁ、何はともあれ、河童さんが何故河童さんなのか?を垣間見ることができる、非常に愉快な本です!
普段の生活、あるいは旅先なんかでもちょっと知っておけば楽しさ倍増になるようなチップが満載のこのエッセー集、是非一度、手にとって読んでみてくださいね!

Amazonへのリンクはコチラからどうぞ!
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『河童の手のうち幕の内』
著者:妹尾河童
講談社

投稿者 Keikon : 00:38 | コメント (0)

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2006年05月01日

『孤宿の人(上・下巻)』を読んでみた。

kosyukunohito.jpg日本では相当有名な作家である、宮部みゆき。恥ずかしながら、彼女の作品を読んだのは、この『孤宿の人』が初めてです。が、初めてにしながらぐいぐい引き込まれ、二日間、風呂の中で徹夜しながら読みきりました(爆)。宮部みゆきと言えば、多分現代ミステリー小説の方が有名かと思いますが、こういう歴史物もちょくちょく書いているようですね。



舞台は江戸時代、四国は讃岐の国、丸海藩。
不遇な生い立ちを背負った少女“ほう”は、江戸からこの丸海藩にやってくる。
安息の地を得られたかと思っていた矢先、突然愛する人の死が訪れる。
その死にまつわる真相と、現実の間で幼いほうの心はかき乱される。
そんな折、丸海藩には幕府の罪人・加賀殿が流されてくる事になった。
以来、平和だった丸海藩に、あたかも加賀殿の所業をなぞるかのように毒死や怪異が頻発。
人々の心も荒れてゆく。
一方、ほうは加賀殿幽閉屋敷に下女として住み込むことになった。
悪霊と恐れられた加賀殿と下女のほうは、ある夜の事件がきっかけで顔をあわせ、
以後、ほうは加賀殿から手習いを受けるようになる。
次第に心を開いてゆく両者。
しかし、加賀殿自身は死を望み、その死に対しての丸海藩の命運をかけた計画は着々と進んでいく。。。


最初に孤宿の人を読もうと思ったきっかけ、それはこの小説の舞台が讃岐の国の丸海藩だったこと。
もちろんこれは、架空の藩ですが、…分かりますよね?
Keikonの故郷でもある、かつての丸亀藩がモデルとなっているんです。
なんか、自分のよく知っているところが舞台だと思うと、読んでみたくなるじゃないですか。

というわけで、まぁ、小説を読むときというのは、私の場合、往々にして感情移入してしまうものなのですが、
今回は更に、なんだか具体的な場所や光景があまりにもはっきりと目に浮かんで、頭の中で勝手に映像になってました。笑

最初は『ふーん。』という感じで読み進めていたのですが、ストーリーが進むにつれて、やめられない!止まらない!
悪霊と恐れられていた加賀殿の最期、そして心の深淵を垣間見た時、もう、涙が止まらなくなりました。
また、どんなに辛い経験をしても、純粋でつましく、元気に生きていく、そんなほうの姿にも感動します。
エンディングが悲しみだけでは終わらない、それはひとえに、少女ほうの未来への希望のおかげです。

物語には加賀殿とほうの他にもキーマンとなる人物が何人か出てきます。
それぞれの思惑、それぞれの生き様にはそれぞれの苦悩があふれ、
それは現在の世の中にも十分通じる、社会や自分自身の生き方の矛盾を描き出しています。
思わず自分自身に照らし合わせてしまいました。

ストーリーの作りとしては、やや都合よく行き過ぎで寓話チックな面もありますが、
登場人物の心を読む分には非常によくできた作品であり、一読の価値は十分アリの面白い小説だと思います。
宮部みゆきの他の作品も読んでみたい!と思わせてくれましたね。
気になる方は、是非どうぞ!!

Amazonで他の方のレビューも見ることができます。→上巻はコチラから、下巻はコチラからどうぞ。
ちなみに上部の本のイメージをクリックしてもAmazonにとんでいきます。

『孤宿の人(上・下巻)』
著者:宮部みゆき
新人物往来社

投稿者 Keikon : 00:04 | コメント (0)

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2006年03月03日

『霊山』を読んでみた。

reizan.jpgさてさて、今回紹介するのはこちらの小説『霊山』です。実は2、3年前、ある新聞の書評を見てずーっと読みたいと思っていたのですが、先日ようやく手にする事ができました。当時の書評の内容は、もう覚えてないのですが(爆)、…この読後感は、ちょっとこれまで体験したことのないような不思議な感じです。。。



特に目的もなく旅をしていた“私”が、汽車の中で偶然話題に上った『霊山』を求めて彷徨う話です。
しかし、物語はもう1人の主人公である“おまえ”との話と隔章で進んでいきます。
なんの脈絡もなく進んでいくかのように見える二人のストーリーが、
実は1人の男の姿であることが見えてきたとき、この物語の奥行きはぐっと深まります。

正直、最初は意味がよく分からないなぁ、、、と思ったのですが、
ある時点から突然、主人公の“私”と“おまえ”への感情移入が急激に始まって、
そこからは、まさにもう止まらない~、という勢いで読んでしまいました。
読んでいる自分自身までもが空想と現実の世界をトリップしているような感じ、
こんな小説、本当に初めてです。

人生の機微が少しずつ分かり始めた、この年になってようやく理解できるようになってきたのかなぁ、という感じでしょうか。
主人公や、その他の登場人物たちの言葉が、時折ぐっと胸に刺さる事もあります。
なんというか、口ではうまく表現できないのですが、恐らく読むたびに、違う印象を受ける本ではないかと思います。
自分が色々な経験を積むたびに、この本への思いは変わってくるのではないでしょうか。

著者の高行健氏は中国の生まれです。
1983年、彼の劇作が西洋の退廃的思想を帯びたものとして、上演禁止となってしまいます。
こうして作品発表の自由が失われた彼は、87年に中国を出国、
祖国を捨て政治亡命者となり、97年にフランス国籍を取得しています。
出国後のパリで、この『霊山』をはじめ、いくつかの小説を完成させた彼は、
2000年、中国語で創作する作家としては初のノーベル文学賞を受賞しました。

この小説『霊山』は、文中、様々に人称を変えながらも、こうした経歴を経てきた彼自身のことを語った自叙伝と言ってもよいかもしれません。

Amazonで他の方のレビューも見ることができます。→コチラからどうぞ。
ちなみに上部の本のイメージをクリックしてもAmazonにとんでいきます。


『霊山』
著者:高 行健(ガオ・シンヂエン)
訳者:飯塚 容(いいづかゆとり)
集英社

投稿者 Keikon : 11:14 | コメント (0)

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2006年01月30日

『カシコギ』を読んでみた。

kashikogi.jpgやれやれ、ついに料理とは関係ない投稿を。。。Keikonは本を読むのが結構好きで、読んだ感想を書いてみるのも悪くないかなぁと。こうなるともう、開き直りですね、はい。(爆) あ、かろうじてアジアつながりで。(笑)
さて、今回読んだのは、2000年から2001年にかけて韓国で大ベストセラーとなった小説、『カシコギ』です。もちろん邦訳されたものです。本を読んでこんなにも涙したのは久しぶりでしたが…



10歳の少年タウムは白血病を患っていた。
その父チョンは息子の治療費を捻出するため八方手を尽くし、
絶望視されていた脊髄のドナーが奇跡的に見つかる。
長い間非情な苦しみの渕を歩き続けてきた少年に、ついに希望の光が差し始めた頃、
一方で忍び寄る暗い影は、もうそこまでせまっていた。。。

父は息子を愛し、息子は父を愛していた。
その愛は無限に広く、そして絆は無限に深い。
しかし、その広さと深さゆえに、父は“決断”しなければならなかった。

最期の最期まで息子の為に祈る父親の姿に、涙を止めることが出来ませんでした。

“命”を題材として扱っているだけに、この本の中にはハッとさせられる言葉がたくさん出てきます。
特に印象に残った言葉の一つがこちら。

あなたが虚しく過ごしたきょうという日は
 昨日死んでいったものが
 あれほど生きたいと願ったあした

人間だから、虚しい気持ちにさいなまれる事もあります。
しかし、別のところでは、その“きょう”という時間が、どれほど渇望されていた時間だったか。
自分が平穏無事に生きている事がどれほど幸せな事か。
私達は考える必要があると思います。

多くの方に読んでもらいたい、名作の一つだと思います。

Amazonで他の方のレビューも見ることができます。→コチラからどうぞ。
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『カシコギ』
著者:趙昌仁(チョ・チャンイン)
訳者:金淳鎬(キム・スンホ)
サンマーク出版

投稿者 Keikon : 15:54 | コメント (0)

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