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2006年05月01日

『孤宿の人(上・下巻)』を読んでみた。

kosyukunohito.jpg日本では相当有名な作家である、宮部みゆき。恥ずかしながら、彼女の作品を読んだのは、この『孤宿の人』が初めてです。が、初めてにしながらぐいぐい引き込まれ、二日間、風呂の中で徹夜しながら読みきりました(爆)。宮部みゆきと言えば、多分現代ミステリー小説の方が有名かと思いますが、こういう歴史物もちょくちょく書いているようですね。



舞台は江戸時代、四国は讃岐の国、丸海藩。
不遇な生い立ちを背負った少女“ほう”は、江戸からこの丸海藩にやってくる。
安息の地を得られたかと思っていた矢先、突然愛する人の死が訪れる。
その死にまつわる真相と、現実の間で幼いほうの心はかき乱される。
そんな折、丸海藩には幕府の罪人・加賀殿が流されてくる事になった。
以来、平和だった丸海藩に、あたかも加賀殿の所業をなぞるかのように毒死や怪異が頻発。
人々の心も荒れてゆく。
一方、ほうは加賀殿幽閉屋敷に下女として住み込むことになった。
悪霊と恐れられた加賀殿と下女のほうは、ある夜の事件がきっかけで顔をあわせ、
以後、ほうは加賀殿から手習いを受けるようになる。
次第に心を開いてゆく両者。
しかし、加賀殿自身は死を望み、その死に対しての丸海藩の命運をかけた計画は着々と進んでいく。。。


最初に孤宿の人を読もうと思ったきっかけ、それはこの小説の舞台が讃岐の国の丸海藩だったこと。
もちろんこれは、架空の藩ですが、…分かりますよね?
Keikonの故郷でもある、かつての丸亀藩がモデルとなっているんです。
なんか、自分のよく知っているところが舞台だと思うと、読んでみたくなるじゃないですか。

というわけで、まぁ、小説を読むときというのは、私の場合、往々にして感情移入してしまうものなのですが、
今回は更に、なんだか具体的な場所や光景があまりにもはっきりと目に浮かんで、頭の中で勝手に映像になってました。笑

最初は『ふーん。』という感じで読み進めていたのですが、ストーリーが進むにつれて、やめられない!止まらない!
悪霊と恐れられていた加賀殿の最期、そして心の深淵を垣間見た時、もう、涙が止まらなくなりました。
また、どんなに辛い経験をしても、純粋でつましく、元気に生きていく、そんなほうの姿にも感動します。
エンディングが悲しみだけでは終わらない、それはひとえに、少女ほうの未来への希望のおかげです。

物語には加賀殿とほうの他にもキーマンとなる人物が何人か出てきます。
それぞれの思惑、それぞれの生き様にはそれぞれの苦悩があふれ、
それは現在の世の中にも十分通じる、社会や自分自身の生き方の矛盾を描き出しています。
思わず自分自身に照らし合わせてしまいました。

ストーリーの作りとしては、やや都合よく行き過ぎで寓話チックな面もありますが、
登場人物の心を読む分には非常によくできた作品であり、一読の価値は十分アリの面白い小説だと思います。
宮部みゆきの他の作品も読んでみたい!と思わせてくれましたね。
気になる方は、是非どうぞ!!

Amazonで他の方のレビューも見ることができます。→上巻はコチラから、下巻はコチラからどうぞ。
ちなみに上部の本のイメージをクリックしてもAmazonにとんでいきます。

『孤宿の人(上・下巻)』
著者:宮部みゆき
新人物往来社

投稿者 Keikon : 2006年05月01日 00:04

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